テーマ |
~答えは質問の不幸である~ |
内容 |
これは「無限の対話」を推賞したフランスの精神科医モーリス・ブランショ(1907-2003)の言葉です。これを同じくフランスの精神分析医アンドレ・グリーン(1927-2012)から聞いたイギリスの精神分析医ウィルフレッド・R・ビオン(1897-1979)は、「答えは質問を殺す」とまで言い切りました。ビオンはイギリスの詩人ジョン・キーツ(1795-1821)が22歳のとき、弟二人に宛てた手紙の中でたった一回だけ記述した「ネガティヴ・ケイパビリティ」を、160年後に再発見して概念を敷衍しました。その骨子は、安易に解答を求めたがる傾向に警鐘を鳴らし、問い続ける行為の大切さの勧奨でした。
性急に答えを求めようとすると、陰謀論に飛びつく反面、容易に答えの出ない問題を初めから忌避します。オウム真理教に用心した高学歴の信者たちも、手軽な解答である教祖の解説思考に吸い寄せられたのです。正解ばかりで教育されて私たちも、困難な問題は後回しにして、解ける問題ばかりを処理する能力を磨かれました。その結果、深刻で未知の問題に挑戦する臂力も、知らず知らずに失ってしまったように見えます。
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開催日 |
2026年1月17日(土) |
場所 |
お茶の水医学会館9F「大会議室」 |
講師名 |
作家・精神科医・医学博士
帚木 蓬生(東大仏文科・九州大医学部卒) |
略歴 |
1947年、福岡県生まれ。作家、精神科医、医学博士。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。2年で退職し、九州大学医学部に学ぶ。93年に『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞を受賞、95年に『閉鎖病棟』で山本周五郎賞、97年に『逃亡』で柴田錬三郎賞、2010年に『水神』で新田次郎文学賞、11年に『ソルハ』で小学館児童出版文化賞、12年に『蝉の帝国』『蛍の航跡』(『軍医たちの黙示録』二部作)で日本医療小説大賞、13年に『日御子』で歴史時代作家クラブ賞作品賞、18年に『守教』で吉川英治文学賞および中山義秀文学賞を受賞。小説以外にも、17年に刊行された『「ネガティヴ・ケイパビリティー」答えの出ない事態に耐える力』が大きな反響を呼ぶ。 |
プログラム |
開 場:13:30
講演会:14:00~15:00
懇親会:15:00~16:00 |
会費 |
1,000円(学生は無料) |
定員 |
50名 |
対象者 |
東京科学大学(同窓会員、学生、会員家族、大学関係者、会員からの紹介者) |
問い合わせ先 |
一般社団法人 東京科学大学医科同窓会(イベント企画委員会)
担当:苅込志乃 karikomi
TEL:03-5689-2228 FAX03-5689-2229
E-mail:ikadoso@ikadoso-tmdu.jp
〒113-0034文京区湯島1-5-34お茶の水医学会館7F |
申込み締切 |
2026年1月10日 |