お茶の水フォーラム

第二期:第12回講演会【講師:武部貴則】

2026年6月26日(金)開催!

テーマ 腸換気技術の可能性―呼吸器から消化器へ 
内容

 重症呼吸不全に対する呼吸維持を目的とした代表的医療機器として、人工呼吸器や体外式膜型人工肺があるが、陽圧換気に伴う肺傷害や、出血塞栓性合併症などに加え、高齢者など適応除外例が存在するなどの課題が存在している。また、SARS-CoV-2のような未曾有のパンデミックに際しては、医療機器やそれらを管理する専門職の絶対的不足が顕在化し、多くの方が命を落とすに至っている。したがって、新たな機作に基づく、簡便かつ安全な呼吸システムの開発は急務であるといえる。
 そこで我々は、体内に存在する器官を転用し(Repurposing)、失われた臓器機能を補うという、全く新たな再生医療的アプローチを生み出すことに成功した。すなわち、ドジョウなどの水棲生物が独自に有する能力である腸呼吸に着想を得て、肺呼吸に非依存的な画期的な換気メカニズム、「腸換気法(Enteral Ventilation via Anus:EVA)」が、哺乳類において実現可能であることを世界に先駆けて発見した。酸素含有量が著しく高く、サーファクタント様の特性を示すパーフルオロカーボンを直腸内投与することによって、重篤な呼吸不全を呈するマウスやブタの血中酸素濃度の改善が可能であることなどを示してきた。パーフルオロカーボンは、すでに人工血液などの分野でFDA承認を得ているなど、臨床での一定の安全性が担保されている物質であり、現在は、医療機器として臨床開発を進めている。本講演では、消化管を活用した酸素化を実現するEVA法の原理基盤を概説するとともに、フェーズ1臨床試験の結果を踏まえた最新の開発動向を共有し、議論を深めたい。

開催日 2026年6月26日(金)
場所 お茶の水医学会館9F「大会議室」
講師名 大阪大学 大学院医学系研究科 教授
東京科学大学 総合研究院 教授
武部貴則(横浜市立大・2018卒)
略歴 1986年神奈川県生まれ。医師、博士(医学)。
2013年に世界で初めてiPS細胞から血管構造を持つヒト肝臓原基(肝芽)を創り出すことに成功、2019年にはヒトiPS細胞から肝臓・胆管・膵臓を連続的に発生させることに成功。デザインなど異分野の手法を医療に還元していくことで、病のみならず、人を診るための新しい医療へのアップデートを目指す「ストリート・メディカル」という考え方の普及にも力を入れている。一般社団法人 Stellar Science Foundation(https://ss-f.org/)の代表理事。専門分野は再生医学、幹細胞生物学、移植外科学、コミュニケーションデザイン学。
代表著書に「治療では遅すぎる。ひとびとの生活をデザインする「新しい医療」の再定義」( 日本経済新聞出版)

【略歴】
2011年 横浜市立大学 医学部医学科卒業
2011年 横浜市立大学 臓器再生医学 助手
2013年 横浜市立大学 臓器再生医学 准教授
2014年 スタンフォード大学 幹細胞生物学研究所 客員准教授
2015年 シンシナティ小児病院 消化器部門・発生生物学部門 准教授(現職)
2016年 Takeda-CiRA Jointプログラム 研究責任者(現職)
2017年 シンシナティ小児病院 幹細胞・オルガノイド医療研究センター
副センター長(現職)
2018年 横浜市立大学 先端医科学研究センター 教授
2018年 東京医科歯科大学 統合研究機構 教授
2018年 横浜市立大学 コミュニケーション・デザイン・センター センター長(現職)
2019年 横浜市立大学 特別教授(現職)
2023年 大阪大学 大学院医学系研究科 教授(現職)
2024年 東京科学大学 総合研究院 教授(現職)

プログラム 開 場:18:30  
講演会:19:00~20:00 
懇親会:20:00~21:00
会費 1,000円(学生は無料)
定員 50名
対象者 東京科学大学(同窓会員、学生、会員家族、大学関係者、会員からの紹介者)
問い合わせ先 一般社団法人 東京科学大学医科同窓会(イベント企画委員会)
担当:苅込志乃 karikomi
TEL:03-5689-2228 FAX03-5689-2229
E-mail:ikadoso@ikadoso-tmdu.jp
〒113-0034文京区湯島1-5-34お茶の水医学会館7F
申込み締切 2026年6月10日(水)
備考

イグノーベル賞受賞 https://www.tmd.ac.jp/news/20240911104815/

チラシ→第12回チラシ